クソ面白い世界史の教科書|漫画「ヒストリエ」の全話レビュー

「ヒストリエ」を高校生で読んでいたら世界史が好きになっていたかな?と思えるほど面白い漫画でした!

読みながら全話レビューしていきます!

てだえり
ちなみにタイトルの「クソ面白い世界史の教科書」と言う表現は、マガポケのレビューにあったものを引用させていただきました。的確すぎる!
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1巻

1話:いろいろ伏線ありそうな始まり方

「知ってるかねメムノンくん」

「大地は・・・・・・実は 球形をしてたんだ」

このセリフを読んだとき、別漫画「チ。-地球の運動について-」を思い出した。

アリストテレスって世界史で出てきた気がする。哲学者だったかな?

「蛮人(バルバロイ)」とか世界史のテストで出てきた覚えもある!

こうやって、物語の中で人の名前や単語が出てくれば、自然に楽しく覚えられるよね。

それに比べて、教科書って、ただ暗記するだけになりがち。年号や表面的な出来事を覚えるのも意味がないとは言わないけど、背景や流れを知らないと「身になる」学びにはならない。

歴史は繰り返す。だから歴史を学べって言うけど、「1192年に鎌倉幕府ができた」みたいに年号や出来事だけ覚えても意味がない。大事なのは、それがどういう背景や流れで起きたのかを知ることだと思う。

たとえば、織田信長が明智光秀に討たれた本能寺の変も、ただの「裏切り」ってだけじゃない。信長の独裁的なやり方や光秀の不満、さらにその後の豊臣秀吉の活躍とか、日本全体の流れに大きく影響した出来事なんだよね。

とはいえ、中学や高校で学ぶ日本史や世界史ってとにかく量が多いから、すべてを掘り下げて学ぶのは難しい。

私が学生に戻れたらどうやって楽しく勉強するかなぁって考えたんだけど、普通に教科書を覚えながら息抜きとして、この「ヒストリエ」とか「チ。-地球の運動について-」とか歴史に関する漫画を読むかなぁ。少女漫画を読んでいる暇はないよね。好きだけども!

奴隷<自由市民<アリストテレス先生?

奴隷制度のあった時代か。自由市民が奴隷に対して奴隷のように扱うのに何の疑問ももたない。アリストテレス先生も奴隷は必要な制度だと言っている。奴隷も奴隷だから嫌々と言うか、何の疑問も持たずに奴隷をしているのかなどうなのかなって思ったけど、1人奴隷は逃げたって言ってたから、やっぱり奴隷だって奴隷は嫌だよね。そんなの当たり前。自由市民は、自分が奴隷じゃないから奴隷の気持ちになって考えた事は無い。歴史を学ぶといかに今の時代が平等で優しいか実感するね。

エウメネスって人が主人公かなぁ?

2話:画力がすごい!

戦争?のシーンを遠くから俯瞰で見ている主人公のシーン、画がすごい!

たしかに、キングダムのお城で戦うところとか、戦っている人は激しくてすごいけど、遠くから見ると、豆粒がなんか動いているくらいにしか見えないんだよね。

飛行機とかもない時代だから、完全に安全な場所から戦争を野球観戦みたいに眺めていた人もいるのかなぁと思ってしまった。

あと、イラスト見たことあるなぁ寄生獣の人かなぁと思ったらやっぱりそうだった!これは面白いに違いない!ここからも期待!

3話

主人公?のエウメネスと同じように、軍隊が邪魔で街を横断できずに困っているおばあさんを見つける。

エウメネスが奴隷のふりをして、おばあさんを上に担いで、堂々と軍隊の間を通り抜ける。

エウメネスが奴隷のふりをして、おばあさんを上に担いで、堂々と軍隊の間を通り抜ける。

この時、どうして軍隊が止まってくれるってわかったんだろう?

門のところまでたどり着いたけど、門番の人が開けてくれない。そして、怪しげな3人がエウメネスたちの真似をして、軍隊の間を通り抜けてきた。

4話

門番の人に門を開けてもらうために、どうしようかと考える5人。

主人公エウメネスの、飄々淡々とした性格から、軍隊の人たちに訴えかける演技の落差が凄すぎる。

ちょっと「HUNTER×HUNTER」のクロロの子供時代と既視感。

エウメネスの頭の良さ、肝がすわっているのがよく表現されている。

第5話

無事に軍隊の間を通り抜けて街を渡ることができたので、おばあさんとエウメネスはここでお別れ。

おばあさんがお礼を言って、エウメネスは(こちらこそ)と思ったけど、本当にそうなんだよね。

おばあさんはエウメネスいなかったら街を渡れなかったけど、エウメネスもおばあさんがいなかったら街を渡れなかった。キレイなwin-winの形!

3人組のおっさんは、この街が初めてみたいで、エウメネスに行きたい友人ヒエロニュモスのところまで案内してもらうことになった。

で、ヒエロニュモスの家に着いたら火事の後?家がボロボロに崩れていた。

以下ネタバレ

2巻の途中まで読んで、また戻ってきたけど、おっさんが探している友人、ヒエロニュモスってエウメネスの兄のことかな?

で、ヒエロニュモスの家に着いたら家が火事の跡?になってボロボロ…って、自分の実家が無くなっちゃったんだね。泣

そして「アナバシス」の最終巻!!!

一周目はただ読み進めちゃったけど、2巻で速攻伏線回収していて感動!

家に届けて欲しいって言ってたもんね。

第6話

うお〜!いきなりエグいシーン。

急に軍隊?が一家に押し寄せてきて、父を槍でブッ刺して殺し、母も同じように殺し、子供は捕獲、18歳くらい?の美しい長女はその場でレイプ…後から来た上官?に「商品価値が下がる!」と怒られる。ものすごい惨いシーンだ。。。

「トラキアは奴隷の一大収穫地だ」

「トラキアの突端に位置する都市カルディアは捕獲した上着民(バルバロイ)たちを奴隷としてアテネ市へ送るための中間基地でもあった」

つまり、主人公のエウメネスたちが今いる街がカルディア市だね。

こんな残酷なシーンの傍ら、同じ平行線上には、学校に通って勉強し、(今日はあの本届いているかなー?)なんて、穏やかな日常を送るエウメネスの幼少期。

よく考えれば歌を意識していただけで、それが当たり前だよね。今私が漫画を読んでゴロゴロしている最中、アフリカとか世界のどこかには食べられなくて餓死する子供がいる。

世界は残酷だ。そして、奴隷は自由市民になりたいと願うけど、自由市民は奴隷を奴隷としか思っていないから、奴隷の立場に立って考えるということ自体やろうともしない。奴隷で団結して勢力をつけて立ち向かうしかないよね。

それで今の戦争のない平和が作られているんだなぁ。私たちは日本に生まれただけでどれだけ恵まれているか。

あ!トルミデス!さっきすれ違った人!いい子だね。

さっきから蛮人(バルバロイ)、上着民(バルバロイ)、異民族(バルバロイ)って読み仮名振ってるけど、なんか世界史の授業で習った気がする。10年以上前だからうろ覚えだけど。

主人公エウメネスの奴隷カロンってもしかしていい人?

エウメネスが夢の話をしたときに、「その話はあまり人になさらないほうがよろしいかと存じます。」って。

「大の男たちが、バルバロイの女などに倒されてゆく話…聞いていて、気分の良いものでは無いからです」

「特に旦那様や奥様には……」

多分奴隷であるカロンはバルバロイの女側だけれど、自由市民の立場になって自分たちの見え方を心得ている。

カロンが自分で言っていて、少し虚しさを感じているような表情の描写が上手だと思いました。

あ!アナバシス!!!でてきた!最終巻だけ待てども、待てども入荷されなかったみたい。

「アナバシス」の最終巻が入り次第、家に届けてもらう約束をした。

代金はその場で払うと言っていたけど、届いた頃には主人公のエウメネスは家にいなかった?家から出て行った?てことは、代わりに誰かが受け取ってお金を払ったってことだよね。

第7話

6話の冒頭で上着民(バルバロイ)を殺し、長女をレイプしやがった奴がまさかの再登場!

「ええっ!?そりゃねーっすよォ!」

「普通なら、これの他に酒手をはずんでもらったっていいくらいなのに・・・・・・」

なんかドカタ仕事の不良が仕事中にタバコや飲食をするのを注意しても辞めないからお給料を減らされたくらいのノリ、、、

今の時代だったらめちゃめちゃ強盗、無差別人殺し、性犯罪者だけどね。この時代はこれが普通だったんだ。

人を襲うのは犯罪だけど、奴隷は人じゃないからね。でも奴隷本人は自分を奴隷と受け入れている訳ではないから、身を潜めて見つからないように生活しているんだね多分。

カルディア市、アテネ市で暮らしている人達が勝手にバルバロイを奴隷と定めたんだね。

で、その上着民(バルバロイ)を殺し、長女をレイプしたクズがお駄賃をあまり貰えなくて「あああ!ちっくしょう!」とイライラしているところに主人公のエウメネスか通り掛かり、

「結構なご身分すよねえ!!坊っちゃん!」と絡まれる。

え?大丈夫かな?と思いきや、主人公のエウメネスは、その中に上手く溶け込んで談笑しているだと?!!マジパねぇな!

その現場を見ていたエウメネスの母親が、「ああいう人たちとは、暮らしている世界が違うんだから、気安くしゃべったりしたらダメよ!」と嗜める。

さっき野蛮な人たちと談笑した名残からか、エウメネスは一瞬でもくだけた言葉遣いになってしまうが、母親の表情に気づいたエウメネスは、瞬時にかしこまった敬語に戻す。

この一連のシーンで、主人公のエウメネスの要領の良さが窺える。

ちょっと要領がいい人ではなくて、とんでもなく要領のいい人物。

人たらしとは少し違うけれど、その人に合わせてその人好みの人物になれる。なんて才能だろう。

そして、この前の夢の続きがめちゃくちゃエグかった。女の人が切り倒された後、まだしばらく生きていた。

男たちが女の体を犯し さらには切り裂く

そんな中 なぜか女の眼だけが こっちを見ている

(中略)

夢の中で ぼくは 屍体の頭の方へ

夢の中では(ふふ・・・・・・誰なの?きみ・・・・・・・)と少し微笑んでいるけど、現実は夢を見ながら涙を流している。

えっ、これ、幼少期の記憶なんじゃ、、、?!

殺して犯してさらにズタズタに切り裂く…なんて惨いの…

マガポケのコメントにいいコメントがあったので引用します。

奴隷狩りの中でも荒くれ者の奴らが「じゃあね坊ちゃん」と笑顔になって、エウメネスも「気のいい奴ら」と評する。

異民族の女は犯して当然、貴人の少年にはおべっかを使う。

岩明均はこういう描写が結構多く、人間の多面性をよく表していると思う。

現代でも同じだ。

人間って本当に多様性があるよね。

第8話:ばっかじゃねーの

「いくら相手が奴隷でもひどすぎるんじゃないかね?」

と見ていた人が声をかけるくらいよ扱いを受ける奴隷。

奴隷って言葉からして、殴られる蹴られるが日常茶飯事だと思っていたけど、それはどうするなのかな。

主人公エウメネスの奴隷だって、オールメネスの荷物を持ったり、ボディーガード的な役割だよね。

よくよく考えたら、別に加害欲がある人なんてそんなにいないよね。イジメをする人なんて精神的に異常をきたしているしね。

奴隷が当たり前の世界は、別に一定の加害欲のある人以外は、雑務をこなしてくれる何でも屋さんってくらいの立ち位置なのかな?

【奴隷制度について】

奴隷制度について考えていると、いじめと似ている部分があるなと思いました。いじめって、誰かが勝手に一人を標的にして始まりますよね。もちろん、いじめられている子がそれを望んでいるわけではありません。でも、いじめられている姿を見ると、「この子ならいじめても大丈夫」と、普段はそんなことをしない子まで勘違いして加わることがあります。それがどんどん広がって、いつの間にか集団全体でいじめが当たり前のように続く構図ができてしまうんです。

奴隷制度も、もしかしたらこんな風に始まったのかもしれません。最初は誰かが他人を「自分より下の存在」だと扱い始め、それが次第に広がっていった。そして、いずれ国や社会全体で「奴隷」という制度として確立されてしまったのではないでしょうか。つまり、奴隷制度は社会全体で許容された、規模の大きないじめのようなものとも言える気がします。

あとエウメネスの豆知識面白い。

スキタイ人は、世界で最も勇猛で誇り高くそして残忍だと言われている。

人間の皮を剥いで、小物や衣服にするって…よく考えたら羊の皮とかってそうなのかな?動物虐待?って一瞬思ったけど、それ言ったらラム肉もじゃん。ラム肉アウトなら牛は?豚は?と言う話になってくるよね。

とりあえず人間の皮を剥いでいろいろするのはクレイジーだわ。

ペルシア帝国がスキタイ人の残忍さによって生み出された話も面白い。これって実話なのかな?

息子の肉を食べさせるのグロすぎだろ。非道すぎて吐き気する。

第9話

 

 

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