5年ぶりに「HUNTER×HUNTER」を読んだら、キメラアント編で涙が止まらない

5年ぶりに『HUNTER×HUNTER』を読み返して、困惑した。

キメラアント編って、こんなに泣けたっけ?

子どもの頃の私は、正直そこまで好きじゃなかった。

突然現れた巨大な蟻。

強すぎる王。

絶望的な戦い。

当時の印象はそれくらいだった。

「メルエム強すぎる……終わった……」

そんなことばかり考えていた気がする。

ピトーはただただ憎たらしかったし、カイトが女の子として転生した時は「え?どういうこと?」と混乱した。

もちろん王の最期やコルトとレイナの再会では泣いた。

でも、今振り返ると物語の本質はあまり理解できていなかったと思う。

それでもキメラアント編の評価が高いことは知っていた。

「HUNTER×HUNTER」は何度も読み返している漫画だけれど、今回、5年ぶりに読み返した。

そして困惑した。

こんなに泣ける話だったっけ。

読み終わる頃には嗚咽が出るほど泣いていた。

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やっぱり幻影旅団はかっこいい

まず最初に言わせてほしい。

やっぱり幻影旅団はかっこいい。

強い。強すぎる。

仲間が苦戦していても助けに入らず、野次を飛ばしながら見守る旅団の空気感もたまらない。

久しぶりに読んでも痺れた。

ピトーは本当に悪だったのか

今回読み返して、一番印象が変わったのは王直属護衛軍だった。

子どもの頃は、ただの憎い敵だった。

でも今は違う。

彼らはただ王に忠誠を誓っていただけだった。

特にピトーへの見方は大きく変わった。

初登場時は恐怖そのものだった。

カイトを殺し、ゴンを絶望の底に突き落とした存在。

でも終盤になるにつれ、少しずつ違う顔が見えてくる。

王の命令でコムギを必死に治療する姿。

王のために命を懸ける姿。

そして最後に残した、

「ボクで良かった」

という言葉。

あの一言に、ピトーという存在のすべてが詰まっている気がした。

王を守れたことへの安堵。

王への絶対的な忠誠。

あれほど恐ろしかった存在なのに、最後には泣きそうになった。

ピトーとプフの決定的な違い

面白いのは、同じ忠誠心でもピトーとプフではまったく質が違うことだ。

ピトーは「王そのもの」を愛していた。

だから王が大切にするコムギも守ろうとする。

一方でプフが愛していたのは「自分が理想とする王」だった。

だからコムギを排除しようとする。

王のためではなく、自分の理想を守るために。

どちらも忠誠心だ。

どちらも愛情だ。

でも全然違う。

私にはプフの愛はどこかイルミのキルアへの愛に似ているように見えた。

愛している。

でも相手自身ではなく、自分の理想を押し付けている。

そんな歪さを感じた。

コムギとメルエムに涙が止まらない

今回、一番泣いたのは間違いなくここだった。

コムギとメルエム。

最初のメルエムは、人間を家畜程度にしか見ていなかった。

強い者が支配し、弱い者は淘汰される。

そんな価値観だった。

でもコムギと出会う。

目は見えない。

戦うこともできない。

それなのに軍儀だけは誰にも負けない。

そこで王は初めて知る。

強さだけでは測れない価値があることを。

だから少しずつ変わっていく。

人間を支配しようとしていた存在が、人間を理解しようとする存在へと。

なぜネテロは王を認めなかったのか

昔から引っかかっていたことがある。

なぜネテロは最後まで王を認めなかったのか。

今回読み返して、少しだけ分かった気がした。

メルエムは変わった。

でも彼の言う共存は、対等な共存ではなかった。

優秀な人間は生かす。

そうでない人間は管理する。

そこに悪意はない。

むしろ善意ですらあったと思う。

でも、それは人間から見れば支配だ。

それではヒエラルキーはキメラアントの方が上になってしまう。

だからネテロは受け入れなかった。

そしてもう一つ。

王は強すぎた。

ネテロですら勝てないほどに。

仮に王がさらに成長し、本当の意味で人間との共存に辿り着いたとしても、人類は彼を受け入れられただろうか。

私は難しかったと思う。

なぜなら王は、すでにあまりにも多くの命を奪っていたからだ。

どれだけ心を入れ替えても、その事実は消えない。

だからあの悲劇は避けられなかったのかもしれない。

王が最後に欲しかったもの

死を前にしたメルエムが最後に求めたもの。

それは権力でも勝利でもなかった。

コムギだった。

世界を支配しようとしていた王が、最後に望んだのは好きな人と一緒にいることだった。

コムギに会いたい。

ただそれだけだった。

そして、その願いを聞いたパームが涙を流す場面。

「そんなことしないで」

王が頭を下げようとした瞬間、泣き崩れるパーム。

あそこで私も完全に駄目だった。

ボロボロ泣いた。

王とコムギの最期のシーン

そして、メルエムは最期の瞬間までコムギと軍儀を打ち続けた。

それだけでも十分に胸が締め付けられるのに、さらに涙が止まらなくなった場面がある。

自分の身体に残った毒がコムギにも及んでしまうから、もうここから離れろと告げるメルエム。

するとコムギは迷うことなく言う。

「お供させてください」

……駄目だ。

書いているだけで、また泣けてくる。

メルエムとコムギ、二人だけの時間が永遠に続けばいいのに。

母になった今、一番苦しかった場面

さっきメルエムとコムギのシーンが一番泣いたと言ったけど、ごめん、嘘。

今回特に涙が止まらなかったのは、コルトとレイナの再会だった。

実は読む前から、物語が進むにつれて「あのシーンが来る…!」と思い出して泣いていた。

でも子どもの頃とは泣く理由が違った。

今は母親の気持ちを考えてしまう。

突然いなくなった子ども。

もう二度と会えないかもしれない子ども。

それでも毎日を生きていかなければならない親。

どれだけ苦しかっただろう。

どれだけ泣いただろう。

そう考えるだけで胸が締め付けられた。

キメラアント編は何の物語だったのか

昔の私は、人間と蟻の戦いの物語だと思っていた。

でも今は違う。

親子の物語だった。

愛の物語だった。

理解し合えない者同士が、それでも理解しようともがく物語だった。

そして私は思う。

蟻と人間は、本当に共存できなかったのだろうか。

私は、王がいなくなったからこそ共存できたのだと思う。

王は変わった。

でも強すぎた。

善良になっても、その存在自体が恐怖だった。

だから王と人間の共存は難しかった。

けれど王亡き後に残されたキメラアントたちは違う。

人間の記憶を持ち、人間の感情を持つキメラアントも多い。

そこに初めて、本当の共存の可能性が生まれたように思う。

もし王が最初から人間を殺していなかったら。

もしもっと早くコムギと出会っていたら。

そんなことも考えてしまう。

でも、だからこそあの結末は美しい。

王は人間を理解した。

コムギを愛した。

それでも生き残ることはできなかった。

人間も蟻も、それぞれの立場から見れば間違っていない。

だから悲しい。

だから美しい。

5年前に読んだ時とは、まるで別の作品を読んでいるようだった。

たぶん作品が変わったんじゃない。

私のほうが変わったんだろう。

そして改めて思う。

やっぱり冨樫先生は天才だ。

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